2005年09月15日

ビジネス書初心者向け書評・『経営者の条件』(ドラッガー著)

(この記事の概要)
・この本はタイトルは間違い。
 決して経営者についての本ではない
・全ての自律的に働く人に向けての本
 それらの人が成果をあげるやり方を解説
・高度に抽象的な内容なので
 適応範囲は広いが、同書の内容を
 自分の「具体」に自分で結びつける必要がある


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どうも。
旅に出ろ」と言われたので
旅行の準備をしている素直なダメ人間
めたかです。
(イヤミだなぁ。
 でも、もっとつっついても良いと
 思い始めていますけど。)


前々から予告していた
「ビジネス書初心者向けの書評」シリーズ
選挙後すぐにやるつもりだったんですが
今日から、始めますね。
ダメ人間がお送りする全く説得力のない(笑)
ビジネス書解剖です。

その始めにお送りするのはこの本です。

新訳 経営者の条件(ドラッガー著)


と言う事で、いきなりドラッガーです。
だけど
やっぱり、ここから始めるのが一番良いと思いました。

と言っても
私、全然、ドラッガーって知らなかったんです(笑)
さすが「ビジネス書初心者」ですよね。
だけど普通、一介の技術者は、知らないよぉ?
ただ
ほぼ日でイトイさんが
「ドラッガーはやっぱりスゴい」
って内容の事を何度も言っていたので
一度、読んでみようって思っていました。
なんで
旅先で読む本が欲しいなって時に
何冊か手に取って、
一番良さそうなコレを買ったんですね。

ドラッガーって、
経営学の大家、というより
経営学というものを創始しかつ確立した人
だそうです。

で、読んだ感想は
「それだけの事はあるなぁ」というものでした。
(だから「ここから始めよう」と思った訳で)

具体的な内容については
ネタバレになりますので
追記部分に書きますね。


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まず、タイトルは「間違い」と言って良いでしょう。
決して「経営者向けの本」ではないし
「経営者についての本」でもありません。
それが違っていることは
あとがきなどで、訳者も強調しているのですが
このタイトルで広まってしまったので
今更、変える事ができないって事でしょうけどね。
(『ライ麦畑でつかまえて』みたいなものかな)

原題は『The Effective Executive』なんですが
この『Executive』を著者は「経営者」という意味で
使っていないんですね。
この本で説明している所では
「仕事の内容について主体的に意思決定する人」
って事になるでしょうか。
例を挙げると
上司の言われた通りの実験をして
データを取るだけの人なら
『Executive』ではありませんが
求められる事をやるために
自分でどういう実験をするかを考える人は
『Executive』と言える、と思います。

その『Executive』が「成果」をあげるためには
どのように仕事を進めていけば良いか
それを説いたのが、この本です。
その内容は、序章の最後に簡潔に述べられています。

1.時間の管理について
2.貢献に焦点を当てる
  (特に外部の世界への貢献に)
3.「強み」を基準におく
4.重要な事のみに集中する
5.意思決定について

どれも非常に重要な指摘で、
この本が、ビジネス書の古典として崇め奉られている
のは当然と思わされました。

ただし。
この本には、弱点、というか
少し難しいところがあります。
というのは

この本の内容は、かなり高度に抽象的である

という事です。
いえ、抽象的であるからこそ、
あらゆる「仕事をする人」にあてはめる事のできる
内容になっていると思うんですが
でも、それだけ難しいってなりますね。
たくさんの具体例が挙げられていて
イメージは掴みやすいのですが
それを、自分の仕事にあてはめようとするなら
その自分のケースでの特殊な「具体」を
この本の「抽象」に繋げる作業が必要になる、でしょう。

(アマゾンの書評で
 「社会経験が豊富な人の方がこの本の価値がわかる」
 とあったのは、
 経験豊富な人ほど抽象に繋げるだけの
 具体的な材料が多いから、だと思う。)

と言っても
実は「1.時間の管理」は、かなり具体的です。
時間という、具体的に調べやすい事を述べているので
この章の内容を自分に当てはめていくのは
それほど難しい事ではないでしょう。

しかし
それ以後の事項については
「(重要な)貢献は何か」とか
「重要な事はどれなのか」とかを
それぞれのケースで判断していかないとイケナイ訳で
(「何が無駄か」の判断も難しいかも)
そのためには
頭を働かせないといけないし、
経験が多い方が判断しやすいでしょう。

他の多くの「ビジネス書」は
この「抽象と具体を繋げる」ために必要なもの
とさえ、言えるのではないか、とも思いました。

ただし、
最後の
「意思決定」の部分で強調されている事は
「意思決定をする前には
 多様な意見の中から選択するために
 意識的にでも『意見の対立』を作り出さないといけない」
という事でした。
これは、具体的な指摘と言えるでしょう。


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という訳で
この本は、「ビジネス」で成果をあげていくために
基本となる事が解説されているという意味で
重要な本だと思います。
この本の内容を、いかに「具体的」に活かしていくか
は、それぞれの人によるのでしょう。
ただ
ダメ人間」であるかどうか、は
あまり関係ない事かなって思いました。
(つまり、ダメ人間みたいな人でも
 充分に役立つ内容ではないか、という事です。)


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さぁって、次からの当ブログは・・・

めたかです。
やっと夏休みが取れる事になりました。
それで
今、旅行の準備とかしているんですが
間近に準備となると
宿の手配とか、色々大変ですね。

という事で
次回からの当ブログは
・日本に「都市型リベラル政党」がない、という不幸
・メタ論と投票行動
・公職選挙法の抜本的改革を

の(政治ネタ)3本です。

あーん、あら、んっふふふふふふっ。
次回のat most countableも、見てくださいね。
んっがっんっぐっ!

(この予告は上記記事を全て書き上げた時に消します)
posted by めたか at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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