2004年09月25日

「記者クラブマスコミ」の実態は発表ジャーナリズム

前に書いた
ネットは「記者クラブ新聞」を殺すだろう
を、ガ島通信で取り上げて頂きました。
現役の記者の方に、こうして危機感を持って捉えて頂くのは、
スゴく良い事だなーって思いますので、嬉しかったです。
やっぱりね、
新聞とかジャーナリズムってもの自体を
「必要はない」って思ってる訳じゃぁなくて、
今の記者クラブ制度に守られた新聞の現状が
ダメだって思っていますので、
現役の記者の皆さんには、
こういう「挑発」に応えて良い仕事をして頂ければ
って思います。

ですが、
前の記事でも取り上げた
ネットは新聞を殺すのかblog
に最近出た記事を見ると、
「あー、まだまだ、警笛を鳴らし続けないといけないな」
って思ってしまいました。
再び、トラックバックで挑発的な事を書こうと思います。

新聞がなくなっても本当にいいの?

何をかまととぶってるのでしょう?
って思ってしまいました。
そこで紹介されている、「ジャーナリズム考現学」の
新聞記者がいなくなると・・・
から引用させて頂きます。

>新聞記者たちがいなくなると、
>どのような世の中になるだろうか?
>行政、政治家、企業は、
>自分たちに都合のいいことしか発表しなくなるだろう。
>野党や投資家たちがきちんとしていれば、
>多少の情報は表に出てくるかもしれないが、
>野党や投資家も自らの利害を計算しながら動くので、
>すべてが表に出てくるわけではない。
>優秀なフリージャーナリストやブロガーが
>切り込むこともあるだろうが、
>組織的ではないため安定性に欠ける。

あのぉ、今、既にそうなっていませんか?
既に、
「行政、政治家、企業は、
 自分たちに都合のいいことしか発表しなく」なってるし、
新聞だって、
「自らの利害を計算しながら動」いて
報道しているじゃ、ないですか?
プロ野球スト問題についての読売新聞社説は、
そういう状態を分かりやすく示したってだけでしょう。

だって、
実際の新聞の紙面は、かなりの部分が
「発表記事」で埋められているって話じゃないですか。
自分たちでちゃんと独自で取材して書いた記事が、
どれくらい、あるんですか?

こう書いていても仕方がないので、
数字を出しましょう。
にも紹介した
新聞が面白くない理由」からです。
1996年の2月27日〜3月2日と、
かなり古い数字なのがアレですけど。
(最近の数字があれば、教えて下さい。
 もう新聞読んでないので、最近の傾向、分からないんです。)

朝日、毎日、読売3大紙において
「純粋な発表記事」の占める割合はなんと
50.29%
だそうです。
それに、周辺取材や会見、番記者の記事
(これって要するに「リーク情報」ってヤツですよね)
を加えた「発表記事+α」も足してみると
66.86%

ついでなので、他の数字も合わせて紹介しておきましょう。
独自取材によると思われる記事は、14.28%
観測記事が、5.83%
解説記事は、1.87%
その他、コラムなどが、11.16%
だそうです。
独自取材、少ないですよねー。

この発表記事とか、記者会見、リークってのは、
記者クラブマスコミのみに、
独占的に与えられてる情報なんですよねー。
(今は、そうでもなくなってきたんですが。
 それについては後述)
そういう「行政や企業」から独占的に与えられた情報を、
ただ流すだけの記事で
かなりの部分を占めているのが、新聞って事でしょ?

そういう「現実」を踏まえた上で、
それでもなお、こんな事を、言ってるんでしょうか?

ネットは新聞を殺すのかblog
の周辺で議論しておられるメディアの方々にお願いしたい。
キレイ事はもう良い、
こういった記者クラブメディアの現状を
ちゃんと踏まえて議論して頂きたい。
まず、その事を、言っておこうと思います。

いやでも、
たとえ16%でも、独自で取材して、
「権力の嘘」を告発する記事を作ってるんだ
って仰るかもしれません。
もちろん、そういう「良心的な記事」が全くないとは言いません。
でも、
記者クラブ制度で、あと広告収入で、
役所や企業から多くの利益供与を受けている現状で、
そういう組織の暗部に
どれだけ切り込んだ記事が書けるのでしょうか?
それに、
そういう「告発」も少しだったら、
雑誌ジャーナリズムだって、やってる訳です。
いや、今はそういうスクープなら、
週刊誌の方が多いんじゃ、ないですか?
(これは数字の裏付けはないです、スミマセン。)

私は、ジャーナリズムの役割が
必要ないと言ってる訳じゃ、ない。
そうじゃなくて、
今の記者クラブマスコミが、
その機能を果たしているのか?
って事を、言いたい訳です。

あとね、
>もし本当に新聞がなくなったら、
>その「おこぼれ」はなくなり、
>ネットにニュースは流れてこなくなる。
って話ですが、
本気で言っているのですか? って聞きたい。
だって、
ほとんどが発表記事の現状なら、
その発表・プレスリリースをネットに流す仕組みがあれば、
代替する事は、可能なんですよねー。
例えば、
プレスネットワークというものもある
って事は、指摘しておきましょう。
こういうものが、もっと進化して、
多くのお役所や企業がこういう所からも
プレスリリースするのが当然になったなら、
あとはこれを、どうやってフィルタリングするかって
仕組みがあれば、
「ネットニュース」を作る事は、可能じゃないでしょうか。
それに、
今では多くの組織でプレスリリースをHPに載せていたりする訳で、
そういうものを効果的に集める方法ってのも、
考えられるかもしれません。
(というか、HPに載せるプレスリリースが、
 RSS配信されれば、それも可能でしょう!
 時代の流れから言って、そうなるのは時間の問題って思います。)

でも、
ネットは新聞を殺すのかblog
を読んでいて議論しているメディアの方々って、
新聞の現状に危機感を持ってる、
良心的な方々だと思うんですよねー。
そうじゃない記者の方々が多いんだろうなって思うと、
暗澹たる思いになります。

既存のメディアの「中からの改革」ってのは、
ちょっと期待できそうにないなぁって、
私は思っています。
(だから「とっくに見限ってる」って書きました。)
外部からの強力な圧力がないと、
変わる事は、ないんではないでしょうか。
ガ島通信さんが仰るとおり・・・

ネットは新聞を殺すのかblogで議論されてる
「参加型ジャーナリズム」も
その1つたるでしょう。
私が期待しているのは、「外資の参入」です。

進歩的文化人みたいな人たちが良く
「日本のニュースはつまらないから、
 CNNとかを見ている」
なんて事を言ってるのを見かけます。
つまり、テレビのニュースのレベルでは、
外国のニュースを見るってのが、
すでにあるわけですよね。

新聞でも、
ネットで海外の新聞を読んでいるって人は、
すでに結構いるでしょう。
でも、
そういうメディアでは、
日本のニュースはそんなに流れない訳で。
でも、
もっと日本のニュースとかも
本格的に集めるようになったら・・・

言葉の壁ってのがあるから、
確かに難しいのかもしれません。
でも、
ちゃんとしたジャーナリズムとしてのノウハウを持った
海外のメディアが、
日本の読者の、日本の新聞に対する不満ってのを知って、
潜在的なニーズに気がついて、
本格的に日本に参入してきたなら、
どうなるだろう? って思う訳です。

さすがに、採算性って点でいえば、
難しいのかなぁ。
でも、
経済ニュースって事で言うなら、
ブルームバーグって存在もある訳で。
なんで、
そういう「専門性のあるメディア」って所から、
少しずつ参入が始まってるかもって思います。

あとは、
報道機関ライブドアにも注目しています。
場合によっては参加しても良いかなって気持ちも、
少しはあります。
まあ、当分は様子見ですけど、
自分のブログで書いたいくつかの記事については、
メディアに載せて多くの人に
読んでもらっても良いんじゃないかって
思っていますし。
(一例としてこれを挙げておきます。
 それがぼくには楽しかったから


そういう動きが広まって、
その上で、
「記者クラブ制度の実情」についても知れ渡る事で、
お役所や企業での「記者クラブ制度」
の廃止の動きが、長野県以外でも広まって欲しいです。
そうやって、
新聞が多くの規制や既得権益に守られた状態から
解き放たれた時、
いったいどうなるでしょう?
再生するのか、それとも
新しく参入した勢力に放逐されるのか?
既成の新聞の方々には、
ホントに危機感を持ってほしいですね。
posted by めたか at 23:19| Comment(2) | TrackBack(5) | メディアリテラシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログを取り上げていただきありがとうございます。私も「おこぼれ」発言は残念に思いましたし、新聞の傲慢さと立場の勘違いが見て取れると思っていました。ただ、「ジャーナリズム考現学」さんのブログは、双方向の議論の扉は「共同」のように閉じてはいないようです。これからもどんどん「挑発」してください。私も「挑発」していきたいと思っています。
Posted by ガ島通信 at 2004年09月26日 13:05
コメントありがとうございます。
そうですね、私も「閉じてない」って思っています。
ですから、こういう記事を書いているって部分もありますから。
それに、新聞内部の方の「実際の本音」を言って頂く事自体は、
スゴく良い事って思いますし、たとえ「傲慢」な意見だとしても。
今後も頑張って「挑発」していきましょう。
Posted by めたか at 2004年09月27日 00:28
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