2005年01月07日

みんな愛の歌に背つかれて;キリンジ『Drifter』評

この曲を始めて
歌詞を見ながら聴いたとき

わかっていたハズだけど
忘れてかけていた事
そのために失った大切なモノ
今までの いっぱいの悔恨で
胸がいっぱいになってしまった


私が 間違っていた・・・


キリンジって、
一見すると、単なる「都会的な洗練されたAOR」
って感じの音楽なんですが、
少しでも音楽に詳しい人なら、
その「あまりにも凝りすぎたコード進行」の巧みさに、
感心させられる
多分、そういう音楽として、
音楽ファンには認知されてるデュオだと思うんです。
だけど、
私は、それだけじゃぁないものを
感じていました。

特に、高樹さんが書く曲の方に顕著なんですが、
何かに、イラついているような、
そんな感じがしていたんです。
いや、
直接的に「怒ってる」曲なんかじゃなく、
すごく、美しい美しい曲なんですよ、
でも
・・・それが、過剰なんです。
過剰に美しく洗練されたアレンジ、
過剰に不協和音を挟み込みながらも
ギリギリで自然に保たれたコード進行、
そこに乗るメロディーが、
コードとのバランスを「微妙に崩しながら」
自然に、美しく流れる・・・
一方、歌詞は、
今では使われないような
古めかしい、難解な言い回しが使われたり、
タマに直接的にエロかったり、で、
耳に妙に引っかかるように作られた、
とにかく、練りに練って、凝りに凝って、
って曲なんです。
その「過剰さ」から、
何かに怒ってる、というか
イラついてる感じを、感じていました。

ただ、
この『Drifter』には、そういう過剰さは感じない
いや、
美しい曲だし、細部にまで心配られたアレンジや
美しいメロディー・巧みなコード進行は
相変わらず、なんですが。
でも、
なんか、もの凄く、素直に聴ける曲で。
そして、歌詞が
独特の言い回しが影を潜め
率直に心情を綴ったようなフレーズが積み重なる

そして、
そのフレーズが、いちいち私の胸に、突き刺さるのです。

 みんな愛の歌に背つかれて
 与えるより多く奪ってしまうのだ

キリンジが
「何かにイラついてる」って私が感じていた
その「何か」の正体って、
「欲望」を全肯定し助長するような今の風潮
だったのかなって
そんなふうに思ったんです。
こんな世の中じゃ、ラブソングさえも
欲望を助長するためのツールとして用いられている
(何故か?
 そうすると「資本主義が儲かるから」ですよね?
 だから
 メディアは「恋愛させたがってる」んです)

それは間違ってる
そんなんじゃない
本当に大切なものは、私がホントに欲しいものは
そう
分かっているのに、
流されて見失ってしまうんだ・・・
「田園の風景」が「砂漠」へと変わってしまう
心象風景は
あまりにももの悲しく美しくて
聴くたびに泣きそうになる

自分は
大切な人の心のうちにさえも
「乾いた風」を吹き付けていたのではないか?

もっと早く気づきたかったよ
もっと早く思い出したかったよ

この曲の歌詞では
「悔恨」と「静かな決意」が
穏やかな曲調に乗って綴られます。

 ボトルの水飲んで 誓いをたてるよ
 欲望が渦を巻く海原さえ
 ムーン・リヴァーを渡るようなステップで
 踏み越えて行こう あなたと

そういう美しいラブソングなんです。


Drifter/太陽とヴィーナス [MAXI]

Fine
(『Drifter』収録のアルバム)



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関係ないかもしれないけど、
高樹さん、この後しばらくして、結婚したんですよねー。


posted by めたか at 01:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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