2005年05月03日

そして上々颱風

あの日あなたに出会わなけりゃ
どんな夢を抱きしめよう
(上々颱風『鳥の歌』より)



少し前ですが、
ラブジョイってバンドのライブを観てきました。
ラブジョイは京都のインディーズバンドで、
それほど有名なバンドではありません。
というか、
そんなに熱心に活動しているバンドではなくて、
ライブもたまーにあるだけですし、
CDはこの前、9年ぶり2枚目のアルバムが出たばかりです。
(そんなバンドですが、
 メンバーは蒼々たる人たちが揃っています。
 例えば、
 ベースは伝説のレゲエ・ダブバンド『ミュートビート』
 のベースだった松永孝義さんです・・・)

このバンドは、一度観ておきたいって
ずっと思っていました。
それは、ある雑誌のインタビューで
「上々颱風の「人の肩を抱くような」音楽に出会い
 志をともにしたくずっと思っている」
と語っていたから。
この人が、上々颱風というバンドに何を観たのか
それを確認したいって、思っていたんです。


###
上々颱風って、独特なバンドです。
それは、色々な意味において独特なんですが、
特に特徴的なのは、その活動形態です。

上々颱風が主にライブをやるのは、
コンサートホールとかではありません。
いや、コンサートホールとかでもやるんですが、
それよりも、地方の公民館だったり、
伝統的な芝居小屋とか、神社仏閣とか、闘牛場とか、
駅でのイベントだったり、
そんな「変」なイベントばかり、なんです。
・・・こう書いてると
売れないバンドとか芸人さんとかもやってそうですが、
上々颱風は、「敢えて」これをやってる感じ、なんです。
(だって、一応はホールで出来るバンドですからね。)

そして、
上々颱風というバンドも、
そんな「変なイベント」を喜んでやってるようなんです。
だって、ちゃんとした「コンサートホール」よりも、
地方のイベントなんかのコンサートの方が
ずっとライブの出来が良いんですもん。
(だから、その事を知ってるファンは
 地方まで「追いかけて行く」事になる・・・)

上々颱風は
なんで、こんな「活動」を続けているんでしょう。


###
上々颱風主義』という本があります。
上々颱風の特徴的な活動についてのレポが中心の本ですが、
この本のタイトルが注目なんです。

そう、この本の著者は、
こういう上々颱風のやり方は「思想」である
(「○○主義」のような)と言っているんです。
要するに、
ちゃんとした「思想」でもって、こういう活動をしているんだ
って。

この本の内容を見ていきましょう。
この本では、バンドのメンバーよりも、
上々颱風のコンサートを主催する人とかスタッフ
「地方で上々颱風を呼ぶ人」などにスポットを当てています。
それは
そういう人たちを描く事で、より「上々颱風のやり方」が
浮かび出るだろう、という著者の狙いなんですね。

上々颱風というバンドが
こういう人たちとの「繋がり」というのを
最重視しているようなバンドなんです。
「ホールコンサート」でのライブよりも
こんなイベントの方が楽しそうだったりするのも、
それが現れてると思う。
もちろん、
全く「商売っ気がない」訳じゃないでしょう、
でも、「お金よりも大事なものがある」って事なんでしょう。
お金は欲しい、でも、
そのためだけに音楽をやってるんじゃない、
自分を一番、楽しませるのは、面白がらせるのは
「お金」よりも、そんな人たちとの交流、
そこで「出逢う」人たちの笑顔なんだ・・・

そういう考え方が「上々颱風主義」だって事だと思う。
(だって、とても「売れようとしていない」ように
 見えるんだもん、このバンド・・・)


そんな考え方が端的に現れているのが
ビートルズの曲をカバーした『Let it be』でしょう。
ビートルズの『Let it be』は
「世界はそのままで良い」と言うような
言わば「悟り」のような曲だったと思う。
対して
上々颱風の『Let it be』はコミュニケーションの曲だ。
目の前の「あなた」に対し
「あなたはそのままで良いよ」と言って
そっと手を差し出すのです。
上々颱風はずっと、
あちこちのイベントで、そういう「コミュニケーション」を
してきたんだと思う。


多分、
ラブジョイのbikkeさんが言っていた
「上々颱風の「人の肩を抱くような」音楽に出会い
 志をともにしたくずっと思っている」
ってのは、
上々颱風のそういう音楽を、そういう姿勢を
指しているんだと思う。
それは、
この前観た、ラブジョイのライブでも
感じた事です。
音楽性は全く異なっていて、
「ハードコアバンドをバックに従えたフォーク」
って感じだったんですけどね。


多分
上々颱風は、こういう事を伝えたくて
特徴的な活動を行っているんでしょう。
特徴的な音を奏でているんでしょう。
(音については、また別の「考察」があるんですけどね。)


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私自身の考え方とか思想とかも、
このバンドに大きな影響を受けてるって思います。
このバンドにイカれてしまった事で、
私自身の考え方も、大きく変わったような気もします。

私の「思想」は
「資本主義」でも「社会主義」でも「共産主義」でもない。
でも
「上々颱風主義」ってのは、
一番近いかもしれないなって思います。


上々颱風に関しては、
多分、その気になればブログ一月ほど更新できるくらいは
色々と書けるんですけどね。
また、折に触れて何か書く事はあるかもと思います。
posted by めたか at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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