奥田民生さんのニューシングルがCCCDになってしまった時、
民生さん自身がそのことについて
説明のコメントを出していました。
これに対しては、
様々な評価があることだとは思います。
ですが、
普通のCDでは出さないにせよ、
CCCD以外の媒体(アナログレコード、DVD-Audio)でも出す、という事、
アーチスト自身が自らの態度をきちんと表明し、
ファンと向き合って説明したこと
その事は、前向きに評価したいと思います。
ですが。
一点、どうしても「納得できないな」という事があります。
それは
>レコード会社としては、
>これだけパソコンやインターネットが普及してしまった時代に、
>作品が無制限にデジタルコピーやファイル交換される状況を見過ごせないし、
>とにかく行動をしていかにゃならんので、
>CDすべてにコピーガードをかけざるを得ないという
>ポリシーなんだっつーこと
>(これはこれで確かに正しい)。
(この表示では改行位置はめたかが決めています。)
この部分です。
考え方に賛同できる、できないの問題ではありません。
私がこのコメントに納得できない理由は、
奥田民生氏にとって、「違法コピー」の問題が、
他人事として語られている、という事です。
それは、
この部分の主語が「レコード会社としては」であること、
本人主語の部分であると考えられる、
かっこ内の部分(これはこれで確かに正しい)
が、評論家的・第三者的な言い方である、という所に現れている
と思います。
これ、おかしくないですか?
違法コピーの問題って、
奥田民生氏にとっては当事者のハズなんです。
つまり、
「著作権」というのは、
他でもない奥田民生氏の権利であるハズなのです。
だから、
彼自身の権利を侵害するものが「違法コピー」なのですから、
それに対する奥田民生氏の考えというものがあって然るべき、なんです。
そして、
この部分は、その考え・態度から表明しないとおかしい、
と思うんです。
私は聞きたい!
奥田民生さん自身は、この「違法コピー」について、
どのように考えているのですか?
デジタルコピーやファイル交換が無制限に行われている事が、
自らの権利を侵害するものとして見過ごせない、
と考えていますか?
そして、
それを防ぐためには、
自分のCDにもコピーガードをかけてもらいたいと思いますか?
それが現状のCCCDでも?
欠陥ある方法だろうが、とにかく「行動を起こして」もらわないと困る
って考えをお持ちですか?
しかし、
奥田民生さんに限らず、
アーチスト自身が、こういった事にきちんと答える事は、
これまでも珍しいし、これからもあまりないだろう、
現状ではそう判断せざるを得ません。
CCCD問題についての言説は数多くありますが、
いつも思うのは
「アーチスト不在だ」って事なんです。
他でもない、権利を持っている人自身の考えが述べられる事が、
ほとんどない。
曽我部恵一氏のような希有な例外を除いて。
そのことに私は、
大きな不満を持っています。
皆さん、
アーチストを甘やかせていないでしょうか?
別に、どのような考えだって、良いのです。
他でもない、アーチスト自身の権利なのですから。
だから、
たとえ私の考えと異なっていたとしても、
それはそれで尊重します。
というか、
権利者がそう言ってるのですから、
尊重せざるを得ないでしょう。
CCCDによるリリースがアーチスト自身の選択であるなら、
しょうがないと思うんです。
それで聴けない人が出てもしょうがない
(それは切り捨てる)という選択をしたとしても、
それはそれで、アーチストの選択でしょう。
それは、
例えば海外から来ても英語で通す人もいれば、
積極的に日本語でMCする人もいる、
(それに、そもそも日本に来ようかどうかってのも選択です)
そのスタンスの違いに共感するかどうか、
それは聞き手に託されている事でしょう。
でも、
現実では多くのアーチストは
レコード会社の陰に隠れ、態度を表明しようとはしない。
CCCDによるリリースをレコード会社のせいに押しつけ、
さも「被害者」の立場に立ったような顔をしている。
(実際に「被害者」もいるでしょうが、
それならそうと発言してもらいたいと思う。
・・・って話は最後に。)
自らが「リスナーの一部を切り捨てる選択をした」
と思われるのが怖いって事なのかな?
そうやってレコード会社に責任を押しつければ
ファンは良いように解釈してくれるし・・・
それって、
「アイドル」と一緒、ですよね。
周りに保護されて、
お膳立てされた舞台で踊るだけ。
ミュージシャンが「アーチスト」と言われて尊敬されているのは、
表現する意志なんだと思うんです。
少なくとも、私はそう。
でも、
自分の「表現」を伝えることに関わる重要なことについて、
自分の考えを表明できる
「本物のアーチスト」(と私が思う人)は、
本当に少ないんだな、って、
今回のことで思った訳です。
あ、そんなもんなんだなって・・・
「どれくらいのコピーを許容するか、については、
アーチスト自身が線引きをすべきだ」
という意見は、
良く見かけます。
しかし、
現状のような「アーチスト不在」の状況において、
自分自身で「線引き」を考えるアーチストは、
少ないのではないでしょうか。
CCCD問題の1つの根っこは、
ここにある、と私は考えています。
さて。
アーチストが被害者の場合もあるだろう、
って件ですが。
ここで、ちょっと読んでる皆さんに考えてもらいたい事があります。
特に、音楽ファンの人に。
もし自分がミュージシャンで、
自分は願わないのにレコード会社にCCCDでのリリースを押し切られた、
無理強いされた、としましょう。
その時、あなたは、
ファンの人たちに、どのように説明しますか?
形式は自由、「自分では説明しない」ってのもアリですよ。
さて、どうしますか?
考えてみて、できればコメントでもトラックバックでも、
表明して下さると、嬉しいです。
(私自身の回答は、しばらく止める事にしましょう。
近く、記事にします。)