ヒマじゃないしカーテンもないし
花を生ける花瓶もないし
余裕ないしカッコつかないし・・・
(『N.O.』電気グルーブ)
どうもめたかです。
体調イマイチ、ヒマない余裕ないで更新、怠っていました。
というかね・・・
なんか、色々「違うんじゃないか」
ってのが、自分のうちでふつふつと湧いてきている
そういう状況です。
まぁ、おいおいと書いていきます、けど、
今日は、ちょっと古い話でも・・・
えっと、
私、これからブラックカルチャーについて
ちょっと偉そうに語ったりしますが、
別にブラックカルチャーに特段、詳しい訳ではありません。
(特に、最近のそっち方面はすっかり疎くなっています。)
なんで、ディテイルでおかしい点は、
多々あるかもしれません事、先にお断りしておきます。
(ご指摘は、とてもありがたいです。)
「
ロス暴動」って、皆さん覚えておられるでしょうか?
って、もう10年以上昔の、話なんですが。
黒人差別にまつわる、アメリカの、不幸な事件です。
黒人に違法な取り調べ(というかリンチですね)をした白人警官に
裁判で「無罪判決」が出た事に
黒人が反発して起こった暴動なんですが、
その暴動/略奪の主なターゲットとなったのが
韓国人系の移民が経営している商店だった、という事件です。
(あの、そういう訳で、この事件を
「嫌韓」に結びつけて語っているサイトがいくつも見られます。
そういう輩ってホントに何も分かっちゃいないんだ
って私は思いますけども・・・)
実は、ブラックカルチャー絡みで、
この事件についてはいくつかあるんですよ。
それについて、ちょっと語ろうってのがこの記事なんですが。
まず
この事件を「予言」したと言われている映画があるんですよ。
それは『ドゥー・ザ・ライト・シング』という、
スパイク・リー監督の映画です。
この映画のラストでは、黒人たちが
「イタリア系住人のピザ屋」を襲撃するんですね。
(それを「ライト・シング/正しい事」と言ってる映画なんですが、
その話は後で出てきます。)
現実の「ロス暴動」では襲撃されたのは
「韓国系移民の商店」だったんですが、
構造としては一緒でしょって事です。
(なので、「韓国系だった」というのは些末な問題なのです、
それが別に、イタリア系だろうが日系だろうが、
別に良かったんです・・・)
もう1つ、ショックな事がありました。
黒人の超人気ラッパー、アイスキューブが
この悲しい事件に対し、肯定的に評価するコメントを出したのです。
(そのコメントは正確に覚えていないのですが、
スゴく良い事だ、とか痛快な事だ、みたいな事だったと思います。)
しかし、
アルバム『
略奪者」のライナーによると
(これが手元にない・・・
手元にあれば、もっと書きやすいんですけど・・・)
そのコメントは、歪められて報道されたようです。
アイスキューブが「肯定的なコメント」をしたのは事実ですが、
それは、次のような事情からだそうです。
アイスキューブは言ったそうです。
「その因を見てくれ」
と。
「俺たちは、そこまで追いつめられているんだ」
と。
満足な教育も受けられず教養もない人間にとって
「怒り」とは、本当に向けられる対象に対してではなく、
もっと小さな世界/身近な世界での気に食わない対象に向かう
そういうものなんだ、と。
行き場の失った怒りは
手っ取り早い生け贄をそのはけ口にしただけなんだ、と。
(そういう状況こそが、彼の言う
「
白いアメリカが最も望むもの」だって事なんでしょう。)
でも、それでも何故
黒人たちの「暴動」が良い事だって言ったのか?
それは・・・
今の黒人たちにとって、
たとえ「間違った方向」だろうと、
まずは怒りをちゃんと表明する事が重要な事なんだ、と。
多くの黒人たちは、自分たちの置かれた状況を理解せず
怒る事もなく、怠惰に自分たちの状況に甘んじている
それをまず、変えないとイケナイのだ・・・
(だから「ライト・シング/正しい事」なんだ、と。)
(この辺のブラックカルチャーの思想については、
ウェブにはあまり落ちてないようですが、
雑誌書籍レベルでは、結構あったと思います。
マルコムX関連の書籍なんかを参照にして頂ければ)
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私自身、ブラックカルチャーの担い手たちの
こういう考え方に賛同していた訳ではありません。
しかし、
こういう事件やらコメントなどに、反射的に反応して反論しても
得る事はあまり無いのではないか、と思ったんです。
それよりも
その「因」を見ていく事、
そして、その「因」に対して、何らかのアプローチをしていく事こそが
もっと大事な事なのではないか、と思ったんです。
(いやでも、簡単に書きますけど、
もの凄く葛藤はありましたよ、マジで。
「やれやれ」みたいに思った事もありますし、
それで「やられる側」として考えた事もあります。
いやマジで、彼ら米国黒人にとって、
韓国人も日本人も中国人も区別つかない、
みんな同じ「イエロー」という侮蔑の対象でしかない
らしいんですよね・・・
この頃のブラックカルチャーに触れ、色々な事を考えるのは、
自分にとって、社会について考えるレッスンだったかなって
今では思っています・・・)
「弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者を叩く
その音が響き渡れば ブルースは加速していく」
(『トレイン・トレイン』ブルーハーツ)
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今、改めて、あいまいな記憶を基に
こういう事を書こうと思ったのは、
直接のきっかけは、例のコメントスクラムの話について。
その「事象」について、色々ごにょごにょ言うより、
もっと「因」を見つめ、「因」にアプローチしないとイケナイんじゃないか
って思ったから。
(コメントスクラムの話題で、こう思った事は、
敢えて説明しません。でも、
置き換えて当てはめればすぐに分かると思います。
全く同じ構図の問題だと私は思いました。)
ちょっと口幅ったい事を言わせてもらうのなら、
私のブログが「特異性」を持っているとするのなら、
ある「事象」に対し、それに直接反応するのではなく、
常に、その「因」を見つめようとしてきた、という事でしょう。
(まぁ、それが、このブログの「分かりにくさ/切れ味の鈍さ」
にも繋がっているんですけども・・・)
ですから、
その「特異性」を、もっと突き詰めていかないとイケナイな
そして、
「因を見つめる事の大事さ」を、もっと訴えていかないと。
そう心新たに、思う訳です。
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アイスキューブに関しては、
ちょっと元気の出た話(と私が思ったんですが)を。
確か、ロッキング・オンだったと思うんですが、
日本のロック雑誌のインタビューにアイスキューブが答えていて。
彼のパブリックイメージからすれば、
非常に誠実に答えてくれたインタビューでした。
アイスキューブのラップのメッセージは
黒人同胞へのメッセージだ、と公言されていたんですね。
それに対して
インタビュアーは
「私たち日本人のリスナーは、
黒人へのメッセージであるあなたの音楽を
どのように受け止めれば良いのでしょう?」
という内容の質問をしたんです。
その答え
「あくまで黒人へのメッセージをどう伝えるか、のみを
考えているので、それ以外の事は考えていない。
しかし、
もし出来るのなら、自分たちの問題に当てはめ、置き換えて
自分たちの問題を考えるきっかけにしてくれたなら、
こんなに嬉しい事はない」
確か、こういう内容の事を答えていました。
インタビューが続く中で、
アメリカにはびこる「拝金主義」の問題を語り始めたアイスキューブは、
ふとインタビュアーに質問しました。
「俺はアメリカの状況しか知らないのだけど、
日本でも、拝金主義ってのがはびこっているのかい?」
インタビュアーが「そのようですね」と答えると
「オウ! ガッテム! なんてこったい!」と。
その理由を聞かれると
「だって、滅んでしまうよ、そんな社会!」
そのインタビュー記事は、「日本に滅亡の宣告をした」
みたいな締め方をしていたのですが、
でも、私はなんか、その「宣告」に元気が出たんです。
それは、
彼が見定めている「敵」の正体が
私の「敵」と、そうズレて居ないって分かったから。
(普通の方には「元気の出る話」ではなかったでしょうかね。
でも、
いつか、私のその時の気持ちが、分かって頂けると
思うんですけど・・・)